【日立の若手エンジニアAI×usutaku】AIエージェント開発に最短距離は存在しない 価値ある「道草」の正体 『実践AIエージェントの教科書』
概要
日立製作所のデータサイエンティスト田中さん・片岡さんと、生成AI活用支援企業「道草」代表の薄井さんが対談。書籍『実践AIエージェントの教科書』の内容をもとに、現場で使えるAIエージェント開発のリアルな苦労と、遠回り(道草)がもたらす価値について語る。
主なポイント
- 営業事務自動化エージェントの初期版は「使えない」と現場に却下された。原因は業務パターンの網羅不足で、実際には約200パターンの業務フローが存在していた
- 200パターンを洗い出し共通化する作業は誰も把握していない領域であり、現場担当者との対面での業務ヒアリングを重ねて初めて設計に反映できた
- POC(概念実証)段階で「できそう」と現場で「実際に使えるレベル」の間には非常に大きな断絶があり、そこを埋める作業が開発の大半を占める
- 意味のあるPOCにするには、上長だけでなく実際に業務を行う現場担当者をヒアリングやフィードバックの場に巻き込むことが重要
- AIエージェントは会話・Web検索など個別のシンプルな機能の組み合わせで設計されており、要素技術の組み合わせ方を学ぶことが開発の面白さにつながる
- AIで単純な反復作業(Excelへの手打ちなど)を自動化し、浮いた時間を「道草」的な興味の探求や新しい発見(セレンディピティ)に充てる発想が根底にある
- 業務効率化を8〜9割まで進めるには、AI構築だけでなく業務プロセス自体の抜本的な見直しも合わせて必要
- 社内で個人の知見をLTなどで積極的に共有する文化が、エンジニアの挑戦や新技術導入を後押ししている
- AIエージェントを「使えて」かつ「作れる」人材は今後も需要が続くとの見方
実践に使えること
- AIエージェント導入プロジェクトでは、着手前に現場担当者と対面で業務フローを詳細にヒアリングし、パターンの網羅性を確認してから設計に入る
- POCを組む際は決裁者だけでなく実際にツールを使う現場スタッフを早期に巻き込み、フィードバックを継続的に得る体制を作る
- 業務のうち「人間が担う部分」と「AIエージェントに任せる部分」を明確に区分してから新しい業務フローを設計する
- 反復的で低付加価値な作業をAIで自動化し、生まれた時間を新技術の調査や興味の探求(いわゆる道草)に充てて、後の別プロジェクトへの転用可能性を探る
- AIエージェントを単一の巨大機能として作るのではなく、会話・検索などの小機能の組み合わせとして設計する視点を持つ